6月18(土)、19(日)の両日、今年度の建築学会近畿支部の研究発表会が行われました(毎年、本校が会場になっています)。
18日にあった「歴史・意匠・建築論」部門で、「サヴォア邸地上階の曲壁部分に関する考察」との題で、建築設計学科2年生の蒲田祐子と教員の谷川康信とが連名で論文を発表しました。蒲田が口頭で10分間の発表をパワーポイントを援用して行いました。
内容はル・コルビュジェのサヴォア邸の1階部分のU字形の部分の局面が、如何にしてデザインされたのかを考察したものです。これは一見して半円形に見えますが、コルの図面をつぶさに観察すると、いくつかの半径の円弧を継ぎ足して、全体が「クロソイド曲線」に近似した曲線になっているのではないかとの説を提案したものです。
「クロソイド曲線」とは、道路の曲線部分を設計する場合に使われるカーヴで、コルが自動車に多大な親和性を示していたことからしても、サヴォア邸1階部分のクルマの導入通路に、このカーヴ使ったということは高い蓋然性をもつと考えます。
このカーブは楕円ではないか、との質問も会場では出ましたが、その際、楕円であるという根拠が質問者から示されなかったため、あまり説得力のある反論とは思われません。
昨年度も谷川は、別の学生とコルに関する論文を連名で出しましたが、来年度も良いテーマと良き学生が見つかれば、続けて論考を提出し、こういった面でも本校の名前を発信して行きたいと思っています。
谷川康信