建築系学科には共通の「設計製図Ⅰ」という実習系の授業があります。前期は主に、自分の考えをまとめて発表する「プレゼンテーション」を中心に行い、後期はそれらをさらに発展させながら「すまいの設計」に挑みます。
ですが、建築設備学科の学生が、なぜ「すまいの設計」を行うのでしょうか。
建築設備学科は文字通り、建築の設備に関するプロフェッショナルを育成することが使命です。ですが、ただ単にエンジニア色の濃い設備領域だけをしっかりとカバーするだけでは足りません。
クライアント(施主)の気持ちになりながら、与えられた空間に対して適切な設備を検討したり、設計者の意図や、その建物の目的などを図面からしっかりと読み取りながら工事を進めたり、できる限りその建物の全体を把握しながら関らなければならないと考えています。
そこで、一度でも、一から設計を行う経験を行っていれば、将来の仕事の現場でも有効に効いてくるのではないかと思います。自分の手を動かし、与えられた要求に対して「すまい」を計画するのはとても大変です。ですが、四苦八苦しながら課題に描かれたクライアント(施主)をイメージしつつ、その要望を読み込みながら、トイレ、風呂、キッチンなどの水廻りの配置を考えてみたり、部屋の大きさや、天井の高さ、開口部など考えみたりすることで、空調設備や、採光、熱への意識などがしっかりと芽生えます。結果、建物全体を把握することの大切さにも気付いてくれることだと思います。
さて、中間での提案書の発表、エスキス、図面化、最終模型と、順調に進んできたこの課題ももうすぐラストです。今までの前向きな姿勢を崩さずに、最後までしっかりと取り組んで欲しいと思います。
(文責 大西)