建築学科2年意匠(デザイン)コース「建築合宿」として8月31日~9月1日の1泊2日で広島に行ってきました!
学生と教員で、どこに行こうか?この夏に何を体験したいか?などなど事前から話し合いを重ね、古典から近代建築までがコンパクトにまとまった都市であり、また今年はG7サミット開催で再注目され、国際社会における重要な課題が議論された場所ということから、卒業制作に向けて様々な今の社会について考える良い機会にしたいとの思いも込めて、行き先を「広島」に決定しました。
参加学生は事前に、今回の合宿で見学する建築について図書室で資料収集、タイムスケジュールを練り、デジタルブックにまとめ「旅のしおり」として皆で共有。しっかりと予習をして当日を迎えることに。段取りの楽しさと大切さを感じてもらいました。
当日は、皆が早起きを頑張ったおかげで、気持ち良い快晴の朝の広島に到着。まずは、広島らしい路面電車に揺られて[カトリック幟町教会・世界平和記念聖堂(村野・森建築事務所)]へ。
事前に見学をお願いしていたことから、文化財として保存修復に携わられている方にご対応いただけ、とても丁寧で濃密な解説のもと、なかなか見ることのできない場所も見学させてもらいました。
たまたまパイプオルガンの練習も重なったりで、旅のスタートから貴重な体験をすることが出来て、幸先良行。
続いて、広島の港湾エリアにある[広島市環境局中工場(谷口吉生)]を目指し、今度はバスで移動。
ゲリラ豪雨により足元ビチョビチョで到着しましたが、心地よい風の抜けるECORIUMと名付けられたトンネル状の公共通路で一休み。街から海へ抜ける都市の軸線を感じながら、引き締まった空間に痺れました。
リニューアルオープンしたての[広島市現代美術館(黒川紀章)]を目指し、ふたたび街の方へバス移動。
途中下車で本場の広島焼きをいただきました。
雨上がりの比治山丘陵の尾根に佇む美術館へは、周囲の公園計画とともに感じるべく、足を使いながら坂道を散策、蝉の鳴声の後押しもありながら、まさしく全身で体感して到着。
建築空間だけでなく細かなサイン計画に至るまでに見入り、常設展示やホールでの展示を楽しむだけでなく、企画展示は建築を学ばれた経験を持つアーティスト(アルフレド・ジャー展)が開催されていたため、そちらも見学しました。
意味深い刺激と感銘を受けることになりました。まさに実際に身体を通してでしか得られない大切なことを感じたインスタレーションでした。
1日目最後に平和公園エリアの[広島平和記念資料館・ピースセンター(丹下健三)]へ。
バスや路面電車での移動中の車窓からもいろいろと学びがあります。都市のスケール感、地形や歴史からの現在の風景の意味や背景など。観光マップや、地図アプリを使いながら、いま五感で感じていることも含めて広島の街を身体に馴染ませていきます。
イサムノグチ設計の平和大橋を愛でて、平和公園へ到着。やはりこの辺りまで来ると、肌感覚にヒロシマが愬えてくるものがあり、気を引き締めなおして資料館を見学しました。
展示内容はもちろんのこと、丹下健三がこの建築に込めた想いを受け止め、夕暮れの雨上がりの平和公園を散策して、1日目は終了。
2日目もみんなで早起き。宮島エリアを目指し、路面電車で出発。
お目当てはもちろん[厳島神社]
実は今回の旅のスケジュールは潮の干満で決めたと言っても過言では無いくらい、満潮かつ大潮という絶好のタイミングを狙っていました。
足早に宮島口からフェリーに乗り換え、宮島に到着。厳島神社を昇殿。
あまりにも満潮なので入った直後に入場禁止になるほどのタイミング、ギリギリ滑り込みセーフ。踏板の隙間からチャプチャプ跳ね上がる潮水を避けながら巡るというアトラクション付きという絶好なタイミング。月の引力の偉大さと自然の恩恵と地形の妙を感じながら、まさに神秘的な体験ができました。
次は[宮島弥山展望休憩所(三分一博志)]を目指し、ロープウェイを乗り継ぎ、弥山山頂を目指します。
天候に恵まれたこともあり、途中なかなかハードな登山道で汗だくで歩き、ヘトヘトにもなりながら山頂に到着。
地上535mの乾いた空気と爽快な風を感じながら絶景を堪能して、みな思い思いの時間を過ごしました。
幸いに管理されているおばさんと話せる機会を得て、魅力紹介や歴史解説はもちろん、少々ウラ話も聞かせていただくなか、皆がこの建築に愛情を持っておられることが伝わってきました。
下山してお腹ペコペコのところに、広島名物の牡蠣と穴子料理を満喫
厳島神社に再度訪れると、鳥居まで歩いて行けるほど潮が引いていて、わずか数時間での干満差に驚きを感じつつ、再び街に向けフェリー出航。
次の目的地は[おりづるタワー(三分一博志)]の展望フロアへ。前日から体感していた広島の街を俯瞰して見ることで、断片的な記憶が整理されていきました。
もちろんタワー成立の意義や空間の素晴らしさをじっくり味わい、合宿らしく?端っこで車座になり地上約50mで下からの心地よい風に吹かれながらの卒業制作へ向けて、プチ全員エスキス。そして、全員で記念写真撮影。
この合宿で体験できた様々な出来事を定着させるための意味を込め、後日レポートとしてまとめて提出してもらいました。
レポート内容からも、改めてしっかりとそれぞれが自分事として物事を受留め、体験の大切さを感じて帰ってきたことが浮き彫りに。今回の合宿をきっかけに、日常からも物事の見方の変化を感じながら、個々の成長に繋げてもらえたらと思います。
後期の授業でも、建築について一緒にいろいろと考え、学び大き時間を過ごしていきましょう。