2年生が9月17・18日。1年生が10月19・20日にそれぞれ恒例の1泊2日の学外実習を行いました。
今年で8年連続の木造建築見学ツアー(学外実習)で国宝や国の重要文化財、
重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)の建築を見て歩きました。
春の日帰り学外実習と共に学生達の意識向上と毎年2年生が行っている
「卒業制作」のヒントになるような意義のある見学になっています。
訪れる建築は、木造建築のすばらしさを感じられるものばかりで、
説明をして頂ける建築は、大工技能に関する話もあり大工さんの技術力とその発想の豊かさに驚かされます。
◇ 2年生・・・9月17・18日<岐阜県白川郷・飛騨古川・飛騨高山>
● 白川郷:和田家住宅
重伝建地区、世界遺産の白川郷の中にある国の重要文化財の合掌造りの民家で一般に見学開放されています。
OCTでは毎年この家の当主である和田さんから説明を聞かせていただいています。
世界遺産に認定された経緯や合掌造りの構造的な特徴などを学生にも分かりやすく話して下さいます。
● 飛騨古川:飛騨の匠文化館
岐阜県飛騨地方と言えば「飛騨の匠」で有名ですが、
地元の大工さん達で大工技能を伝えるために建てられた建築で、
建築に関わった大工さんで現在は地元で設計事務所をされている方から
古川の民家の特徴である「雲肘木」や大工技能に関する色々な話を展示物をまじえて聞かせていただいています。
学生達にとっては、普段技能実習の授業で取り組んでいる継手や仕口の実物見本がたくさん展示されており、
手にとって見ることが出来、参考になっています。
● 飛騨高山:吉島家住宅
現存する「飛騨の匠」の木造住宅の最高傑作と言っても過言ではない国の重要文化財の建築です。
3年前には棟上実習の課題として取組みました。
7代目当主である吉島さんから説明を聞かせて頂いています。
◇ 1年生・・・10月19・20日
<鳥取県三徳山三仏寺投入堂・倉吉市打吹玉川の町並み・石谷家住宅、岡山県旧閑谷学校>
● 三徳山三仏寺投入堂
修験道の行場として開かれたこともあり険しい山の断崖のくぼみに建てられた建築は
山の道とは言えないような岩肌、
木の根っ子にしがみつきながらの行程を経てようやく見られる、ありがたい堂で、
「日本で一番危険な国宝」と言われているそうです。
● 倉吉市打吹玉川の町並み
重伝建地区に指定されている街並みで、江戸時代に栄えた商家と明治時代に建てられた
擬洋風建築などがみられるレトロな街を散策しました。
中でも、倉吉に現存する最古の町屋である「倉吉淀屋」は、
地元の大工さんをはじめ多くの職人さん達によって改修保存されていて、
古い木と新しく入れ替えた木が色合わせをせず使われているので、改修箇所とその方法(継手・仕口等)が良くわかります。
● 石谷家住宅
鳥取から瀬戸内に抜ける因幡街道の智頭宿にある地主・山林経営として栄えた武家屋敷風の石谷家住宅は、
木材をぜいたくに使った豪邸で大正8年から工事が始まり、
完成は昭和4年で11年の歳月を要したそうです。
案内して頂く部屋と言う部屋で違った木を使ったデザインで造られた床の間があり、
4年前には、地元出身の学生が猪の目(ハート形)デザインの書院を参考に卒業制作を完成させました。